第6章 〜朧夜〜
「玲」
「…ん…?白哉?」
何処か虚ろな瞳が薄く開いて、手が所在無さげに宙を彷徨う。
その手を取って引き寄せると、琥珀の瞳が瞬いた。
「あれ?」
不思議そうに此方を見上げ目が、僅かに揺れる。
「どうした」
「夢、見てたの」
「どんな夢だ」
問うと、玲は躊躇う様に目を逸らし、窓の外へ遠い目を向けた。
「白哉が…凄く幸せそうに笑ってた。ルキアに似てる…でも少し雰囲気の違う女の人と一緒に。私それ見て…」
私は苦しげに伏せられたその瞳をみて、玲の身体を引き寄せた。
「何を思った?」
何と無く、予想は付いた。
しかし、彼女の口から言わせてみたかったのだ。
加虐心…という物かもしれない。
「…凄く、苦しくなって。嫌だって…っん」
気付けば、玲の唇に口付けていた。
酷く感情が高揚していた。
愛しさが溢れて、止められなかった。
嫉妬を認めた彼女が可愛くて仕方なかった。
くっと胸を押されて解放すると、こほっと咽せる玲は、呼吸の仕方も知らぬらしい。