第6章 〜朧夜〜
玲を屋敷へ連れ帰った私は意識を失っている彼女を布団に寝かせ、一つの写真を眺めていた。
そこに写っているのは、ルキアに良く似た…彼女の姉であり、自分が愛した女の姿。
緋真への想いが薄れた訳ではない。
忘れる事など、出来ようはずもない。
しかし、今自分のすぐ側で笑ってくれる玲が酷く愛おしい事も、もう、認めてしまっていた。
お前は許してくれるだろうか。
ルキアを殺そうとしてしまった私を。
そして、お前が居ないこの虚無に耐え切れず、光を求め、また誰かを愛する喜びを、知ってしまったしまった私を。
—白哉様…。
「な、緋真…?!」
確かに聞こえたかつて愛した女の声に、私は目を見開いた。
—緋真は、とても幸せでございました。私は永劫白哉様のお心を縛る事など、望んではおりません。
「何故…」
声が震える。
その声は緋真そのもの。
されど、彼女が私に言葉を伝える術などありはしないはず。
ならば…幻聴、か?
—幻聴では御座いません、白哉様。彼女…創造神の現し身である天照様が私の思念を声として届けてくださっているのです。
「玲が…?」
—いえ、恐らく天照様の気まぐれで御座います。彼女はまだ、眠っておられますから。
「…そう、か」
気まぐれで死したる緋真と会話させるか。
何処までも規格外な斬魄刀だ。
が、感謝はしよう。