第4章 〜華奢〜
彼の性格上、隊務を疎かにするのは許せないのだろう。
もしやられた隊士全員が四番隊送りになんてなったら、それこそ暫く仕事が回らない。
そうなれば、私が出て行って、治す他なくなる。
怪我だけでなく、失った血液や体力まで回復させる治癒能力を持つのは恐らく精霊邸には私だけだろうから。
更木はそんな事まで考えて暴れたんだろうか。
だとしたら意外と策士かもしれない。
「…もう、大丈夫なのか」
「うん、平気だよ。ありがとね」
ふわりと微笑むと、彼は何処と無く諦めたように頷いた。
「…私も行く」
「うん、わかった」
漆黒の瞳に、微かに怒りの色を感じた私は、素直に頷いた。
お願いだから斬魄刀は抜かないでね。
そんな事を祈りながら。