第3章 記録にしないで(ラビ夢)
「…んだよ、これ…。」
オレは何もわかってなかった。
シュリのこと、何一つわかってなかった。
あんなに傍にいたのに。
あんなに長く一緒にいたのに。
「…死んでから全部言うなんて、狡いさシュリ…。」
永遠の眠りについたシュリ。
もう二度と、オレの言葉は彼女に届かない。
オレは、その冷たくなった唇にキスをした。
「こんな思いするくらいなら、好きにならなきゃ良かったさ…。」
オレはラビ。
ラビは49番目の名前。
オレはこれからもブックマンとして歴史を記録していく。
だけどこの手紙だけは、シュリの本当の気持ちだけは、ラビでもブックマンでも無い"オレ"だけが知る真実。
「それくらいは、許されるよな…?」
青空を見上げながら、オレは小さく呟いた。
END.