第2章 『見えない相手』
その瞬間だった。
ベッドサイドの上で充電機に繋がれたマイコの携帯がなった。
「うそだろ」咄嗟に口に出してた
なんだよ?このタイミング、こんなことってある?
そんな俺の困惑はお構いなしにマイコはズリズリと体をずらして携帯に手を伸ばしている様子。
え?出る?この状況で?
かかってた布団ごと移動するもんだから俺、打ち上げられたトドみたいにぽつんと1人で全裸で横になっっちゃったじゃんか?
なんだよー!!
「もしもし・・・うん・・・え?・・・うん・・・」
こんな時に俺を放り出して誰と話してんだよ?
途端に形勢逆転かよ?
ベッドから降りて離れようとするから。
慌てて腕を掴んで引き寄せた。
右耳は携帯に占領されてるいから俺は左耳に舌先を這わせる。
ビクリと肩を弾ませて、声に出さずに口を動かして
「や・め・て」って怖い顔して睨んでくる。
やめて?止めるわけないじゃん?
お前が電話止めろって
そのまま舌を首筋に、下に下に吸い付きながら移動していく
体をよじりながら抵抗してるけど、離さないよ?
「マイコ?どうすればいいんだよ?」
静かな部屋の中でかすかに相手の声が漏れてきた
男?
男の声だと認識した瞬間に背中に冷たいものが走って途端に鼓動が早くなったのがわかった
血の気が引いていく
たった一つだけあの噂の男が一瞬で頭を占領した
俺は震えるほど動揺して
その場にじっとしていられなくて自分でも何をしてるのかわからなかったけど兎に角そこから離れたくて