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ラ・カンパネラ【PSYCHO-PASS】

第33章 番外編:恋病メランコリー【ep-02】



「――私、御飯食べますけど。」
「ん?あぁ。俺の事は気にするな。」
「――1人分も2人分も変わらないので。食べるなら作りますけど。」
「――じゃあ頼む。」

何だか奇妙な空気に慎也はそれだけ答えるとリビングのソファに身を沈ませる。
テレビの横に置いてあった写真立てに目をやれば、そこには恐らく幼い頃の泉と両親の写真があった。
それを見て、慎也の記憶が蘇る。
配属時に見せられた泉のデータには確か両親が死別と書かれていたはずだ。

「――日向。お前、両親って。」
「10歳の時に事故に巻き込まれて死にました。その後は遠縁の親戚に預けられてます。最も中学からは全寮制の桜霜学園に入れられてたのであんまり一緒には暮らしてないですけど。」

特に感情の篭らない声で言われて、慎也は再び部屋の中を見渡す。
カラフルな色で彩られたこの部屋は、酷く無機質なものに見えた。

「――孤独を持つ女、か。」
「狡噛さん。出来ましたよ。」
「あぁ。」

少しだけ彼女の裏の顔が見えた気がした。

「お前、料理っていつも作るのか?」
「まぁ――。あんまり好きじゃないんですよね。あのドロッとしたやつ。」

カロリー管理までしてくれるようになったこの時代に自分で料理をするやつは少ない。
ほかほかと美味しそうに出来上がった料理に手を付けながら慎也は目を丸くした。

「――美味い。」
「――有難うございます。」

その時、無表情だった泉の顔が仄かに笑った。
その顔を見た瞬間、慎也の中でドクリと感情が動く。

「お前――。」
「え?」
「いや――、なんでもない。」

いつもそのままでいろよと言ってしまいたかったが言ったら彼女は再び能面に戻りそうな気がしたので黙って置くことにした。




「僕から言葉を絞り尽くして、君はいつ満たされるの?」




なんだかんだで夕飯を平らげ、慎也はと言えばソファでまどろんでいた。
任務とは言え最近寝不足だったせいもあり、一気に眠気が襲って来る。
そして泉はと言えば余計な会話をして来ないのでそれもまた居心地良く眠気を誘ったのだ。
そんな中、夢うつつにインターホンが鳴る。
泉がパタパタと出て行くのを重い瞼の下で見ていた。
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