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鬼の嫁入り【薄桜鬼】

第7章 時にはこの世界から眼を逸らしても良いのだろうに


「ねぇ、千景!あたし達、結婚しない?」
「――とうとう頭がイカれたのか、お前は。」

京から帰って来て1ヶ月。
昼食を取りながら真剣に呟いた綾女に、千景は顔色一つ変えずに言う。

「あたし真剣なの!」
「それは重症だな。天霧、頭を見てやれ。」
「風間――。それはあんまりにも可哀相では――。」

味噌汁を飲みながら言う千景に、同席していた天霧は困ったように言う。

「て~か何でいきなり結婚なんだよ、綾女?お前ら実質夫婦みたいなモンだろ?」

いきなり言い出した綾女を不思議に思ったのか、不知火が問う。

「違~う!違うんだよ、し~ちゃん!」
「だから何がだよ?」
「あのね、あたしお母さんになりたいの!」
「ぶっ!!!!」

突拍子もない綾女の発言に、天霧と不知火が味噌汁を噴く。

「綾女。落ち着いて。何でまたいきなりそんな事を思ったんです?」
「どうせまた里に降りた時にそそのかされたんだろう。」

慣れたとばかりに千景が呟く。

「良く分かったね!さっすが千景!と言う訳であたしと結婚して?」
「断る。俺はお前の種馬になる気はない。」
「――アイツ、今サラッとすげぇこと言ったぞ。」

千景の発言に不知火が突っ込むが、睨まれて終わる。

「そうじゃないの!あたしは千景との赤ちゃんだから欲しいの~!!」

昼間からこのバカップルは何と言う会話をしているのだろうか。
不知火と天霧は付き合い切れないとばかりにその場を後にした。

「ハァ。良いか、綾女。子供と言うのは欲しいから作るものではないだろう?それに俺との子がどういう事か分かっているのか?」
「何が?あたしと千景の子供だよ?可愛いに決まってるでしょ?」

自信満々に言う綾女に、千景は自嘲気味に笑う。

「分かった分かった。――そのうち、な。」
「本当?!絶対?!」
「お前がそのままで変わらなければな。それまでは北斗で我慢しろ。」
「うん!北斗~!お散歩、行こ~!」









Ep-07:時にはこの世界から眼を逸らしても良いのだろうに
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