第3章 馴染みたい三日月、避ける審神者
「主~! 顔見せて~!」
愛希が審神者業についてから約三か月。
加州がむぎゅっと後ろから愛希に抱き付く。
それにつられたように、鯰尾もむぎゅっと抱き付く。
「まあまあ……それはお断りさせていただきますわぁ」
「むあー!」
鯰尾がアホ毛をピンッと伸ばしながら講義の意を示す。
広間にいたため、他の刀剣たちも、見てみたいと言いだした。
「いつか、ね?」
「いつかっていつ~?」
穏やかに笑って流すと、乱が猫のようにすり寄ってくる。
「お仕事あるからまたね」と微笑み、立ち上がる。
「手伝いましょうか?」
「あ、大丈夫よ長谷部。 ありがとう」
長谷部の申し出を断り、愛希は襖を開けた。
「……」
「何考えてるんだ? 三日月」
顎に指をそえ、考え事をしている三日月に鶴丸が問う。
「いや……少し主のことで気になってな」
三日月が眉を下げ、苦笑交じりに答えた。
鶴丸は肩をすくめ
「問い詰めるだけで無駄だぜ? ぬらりとかわされちまう」
と言った。
幾度となく様々な驚きをしかけ、その目隠しを取ろうとしたが、歌仙と小夜にはばまれたり、愛希自身のガードが高かったり。
「そうではないさ。 まあ、少々主に訊いてくる」
「健闘を祈るさ」
三日月はすっと立ち上がり、愛希の部屋へ向かった。