第6章 VS
「理由?んだよ言ってみやがれ。………断れ。すぐに断れ!今すぐにだ!……知ってるのかって?知らねぇわけねぇだろうがっ!こちとら監査だぞ!少佐の家族構成と顔ぐれぇ知ってるわ!お、おい!代わるな!まっ。……お、お、お断りします!」
勢いよく怒鳴っていたかと思えば、突然相手が代わったから、慌てて声をつくろうビーネが面白い。
なにを話してるのかは分からないが、焦るビーネが笑える。
「少将!聞いたのでしょう!?ですからお断りを!か、仮面?それでは妹さんがかわいそうだとは思わ…ないんですね。あ!あ!ほら!アルフォンス!弟のアルフォンスが居るじゃないですか!あれはフリーですよきっと!」
必死過ぎて、中で喋ってるのが本当にビーネかどうか疑うレベルだぞ。
「とにかく、みあっゲホッゴホッ!お断りです!代わって下さい!ロイに!」
あのビーネがむせてる!何だ、電話の相手は大佐か。
「ロイ!もういい!あんたにゃ頼まん!頼りなさ過ぎて駄目だ!僕が直接断りに行く、もういい!いいって!」
電話を切った、訳じゃなさそうだな。
ビーネが黙って話を聞いているのだろうな。
「どんな事があってもだ。」
あ、いつものビーネに戻った。
「僕はエドと離れる気はない。ノロケじゃないぞ。ロイ、ふざけんなよ。あんまりしっちゃかめっちゃか僕らを引っ掻き回すようなら、お前の細かいところまで調べ上げて、ぐぅの音も出ないほど絞りあげ、父さんの墓前に投げてやる。」
そこまで言うと、ガシャン!と乱暴に受話器を置く音が響いた。
しかし、聞き耳を立てるためにくっつけていた耳を扉からはがす事が出来ない。
さっきのビーネの言葉だ。
どんな事があってもだ。僕はエドと離れる気はない。
顔が緩む緩む。
だらしねぇ顔になってるのは間違いない。