第6章 VS
ここ最近、暇さえあればビーネの所を訪ねる。
日課になりつつあって恐ろしいが、会いたくなるもんは仕方ねぇ。我慢したってどうにかなるもんでもないしな。
ビーネの部屋の前に来て、ノックをしようと手を上げた時、電話が鳴り、ビーネが慣れた様子で出る声がした。
「もしも…しっ!」
冷静なビーネが驚いた声を上げたことに驚いて、相手が誰なのか気になり、扉の前で聞き見耳を立てることにした。
「こぎゃ!ですから!それを!」
なんだなんだ。
面白い展開だぞ。
「そ、それは電話でお断りを…そもそも、強行されたのはアームストロング少将ではありませんかっ!お断りしますと言ったはずで」
お?電話の相手は少将か。
いつの間に電話するような仲に?
「ですから!それもこれも、別の話じゃないんですよ!僕は申し上げた通りです!いいから代わって下さい!当人と話します!」
少将は誰かと一緒に居るんだな。
焦るビーネか、その顔が見てみたい気もするけど、今入るのは勿体ないな!
「おい、てめぇ!なにバラしてくれてんだ!このやろうが!」
さっきまでの猫を被ったお客用の声色ではなく、唐突にビーネが地声で受話器に怒鳴り始める。
だんだん面白くなってきたぞ!
怒鳴るビーネなんて俺はあんまり見たことねぇからな!