第5章 私が、金髪軍服の男にぶつかった話 2
「おー、ビーネ。って、え?!誰!?」
「さっき、僕がぶつかっちゃった人。医務室にご案内中。」
むむ!何奴!
大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括の行く道を邪魔する者か!?
「貴様!名を名乗れ!馴れ馴れしく大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括に近づくな!」
「あーはいはい。僕の相方。エドワード・エルリックね。大丈夫大丈夫。」
「……ビーネ。こいつ本当に大丈夫か?なぁ。」
「知るかよ。頭打ったんだろ。」
「はっ!軍部大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括の右腕でありましたか!まことに失礼いたしました!」
私の前を、悠然とサバンナを闊歩する金の鬣を奮う獅子王の如く歩く大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括は、右腕なる容姿の整った男と肩を組んで歩いていらっしゃる。
談笑しているのだろう。大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括は、その見目麗しいお顔でやわらかな春の風のようににこやかに笑っておられる。
まさに!まさに!私の警護が素晴らしいからであろう!
「おい、なんかヤベーぞ。血流しながらお前の事見て笑ってんぜ?」
「見るな見るなエドワード。絡まれるぞ。」
「いや。もうガン絡みされてるけどな。」
「医務室にポイしておさらばだ。」
医務室の看板が見えて来た。
任務の完遂はもう少し。
しかし、気を抜くな私。
医務室に付いて、大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括が仕事を終え、私室に戻られるまでが護衛の基本。
どこかに大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括を狙う輩がいるやもしれん!
警戒を怠るな!私!