第5章 私が、金髪軍服の男にぶつかった話 2
「付いたよ。医務室。さ、中に入って。」
「はっ!しかし私はただの護衛!中に入るのは遠慮いたします!」
「あー…じゃぁ、一緒に入ってきて。」
「はっ!」
大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括の困ったような笑顔はどういう意味なのだろうか。
もしや!大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括は、護衛の女をベッドに連れ込み連日連夜抱き回しているのではないだろうか!!
なんと。なんと…。
「まだ、お心が出来ておりませんんっ!!」
「えっ、なに?」
「私には、なにぶん経験がございません故、大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括をご満足させられるかわかりません!しかし!これも任務!精一杯ご奉仕させていただきとうございますぅうううう!!」
「ドクター、後よろしく。」
「はぁ?何処で拾ったんだよこんな珍獣。ヒューズ、お前親父に似なくていい所似たな。」
「遺伝なんで、回避できません。」
「お前、親父と血繋がってねぇじゃねぇか。」
「じゃぁ、あれだ。感染症かウイルスだ。」
ドクターと知己の中!
そうか、やはりこの部屋は『そういうこと』をする時に頻繁に使っていらっしゃるに違いない!
これで!これで、気に入られれば!
道が一気に開ける!!!
「大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括っ!ベッドの準備が整いましたでございますっ!」
「もう、いねぇよ。お前、ちょっと意識飛ばしてろや。」
「うがふっ!」
うっ!不覚!
非力そうなドクターに後ろを取られ、当身を喰らうとは…なんたる…。
そ。そうか。
こんな程度にやられていては、大総統近衛隊武官長、兼、国家錬金術師総括の席は務まらないと言うことですね。
き、厳しい道のりになり、そう……だ。
「どっと疲れた。もういや。」
「お疲れさん。」
「もう嫌。」
・・・