第1章 魔界
「あぁ。君でしたか」
私が何か貰おうとキッチンに向かうとそこにいたのは珍しい人物だった
彼は逆巻の三つ子の1人、逆巻カナト
「久しぶりだね。カナト」
彼と私はあまり会うことがない
なぜなら、彼はカールハインツに下界の家を任されており、こちらに戻ることはあまり無かった
「えぇ。ここにはよく来るんですか?」
「うん。最近は来てなかったけど、暇があったら遊びに来てる」
「そうなんですか。
はい。これ、レナにあげます」
彼の手に持つ皿には美味しそうなクッキーが並べてあった
「え、これカナトの好きなお菓子でしょ?いいの?」
「えぇ。別に構いません」
彼には小さい頃から、お菓子を分けてもらっていて、食に関しては一番気が合うと思う
「ありがとう、カナト」
「いえ。
....僕は、そんな物よりももっと美味しいお菓子を見つけましたから」
カナトは嬉しそうに微笑む
「それじゃあ、またね。レナ」
彼は自分の部屋に戻っていく
彼のいうお菓子とは、人間の血の事だろう
初めて彼と意見が食い違ったような
そんな気がした