第6章 籠の中
「何故、見つからないのですか!?」
逆巻の家は1晩経っても見つからないレナの事で騒がしかった
「申し訳ございません。
この霧の影響で使い魔が....」
「言い訳は結構」
レイジは眼鏡をくいっと上げる
その下の目からは苛立ちが見て取れる
「まぁまぁ」
ライトはレイジをなだめる
「子供じゃないんです。大丈夫でしょう」
「あいつも一応ヴァンパイアなんだろ」
一方、カナトとスバルはそこまで心配する理由が分からないようだった
レイジは溜息を漏らす
「....彼女は生まれてから今まで1人で外に出たことがないのです。
それに、よりにもよってあの森に入るとは....」
逆巻の屋敷の側にある森は、この家を狙う多くの魔物が住み着いている
「過保護すぎなんだよ。あの親は」
「俗世を知らないお嬢様かぁ....んふっ♪」
ライトは何だか楽しげに笑う
「なんですか、ライト」
「だってさ〜、今までお城に閉じ込められてたお姫様が城から脱走して、魔物の住む森を彷徨う....
それを助けた王子様は一体何を貰えるんだろうね~」
ライトは早口で卑猥な妄想を始める
「はぁ....」
レイジは呆れて、部屋を出る
「....囚われの姫か....」
寝転ぶシュウは一言呟く
しかし、その声は誰に言うわけでもなく、静かに空気に溶け込んでいった