第5章 無知
私は腕を引かれ、扉を潜る
中は逆巻の家に負けないくらい広かった
しかし、違うのは使用人が1人も居ないこと
使い魔はいるにしても、メイドや執事は雇って居ないようだった
「おっ!帰ってたのか、ルキ」
客間であろう部屋には1人の男の人が座っていた
彼は立ち上がり、こちらを向く
背が高く、がっしりした彼はとても威圧感があった
「おせぇからこの霧で迷ったのかと思ったぜ」
「あぁ。少し、用があってな」
ルキはちらっとレナを見る
すると、背の高い彼は私の前に立つ
「あぁ?お前誰だ?」
「ビクッ!!」
大きな声と圧迫感に私は気圧される
「だめだよ!ユーマくん!」
コウはレナを庇うように引き寄せる
「ユーマくんは相変わらずだよね~」
「あぁ!?」
「レナちゃん、彼はユーマくん。ちょっと怖いけど、不器用なだけだから♪仲良くしてあげてね」
ユーマは1つ舌打ちをする
「えっと....私はレナです」
勇気を出して言葉を紡ぐ
すると、彼は先程とは違い、満面の笑みで私の頭を撫でてくる
「おう!よろしくな!」
少しこわいって思ったけど....凄く優しい人なのかもしれない
その後、私はルキに連れられて部屋に案内される
客間に残った2人はソファーでくつろぐ
「あの子....夜崎家の人間なんだってさ」
コウは寝転びながら呟く
「あぁ。あの血の匂いで大体分かった」
ユーマの言葉を聞いて、コウは目を閉じる
「確かに....あの匂いはやばいよね....」
コウは舌舐りをして、不敵に笑う
『お前達』
ふたりが振り返ると扉の前にはルキが立っていた
『あいつには手を出すな』
そう言った彼の目には殺気を伴っていた
こうして、無神家に1人の少女がやってきた