第1章 魔界
魔界の中心にある大きくて立派なお屋敷
ここはカールハインツの住処であり、彼の子息達の住む家
今日もまたその家の前に真っ黒で長い車が止まる
ヴァンパイアの王の屋敷である、ここに立ち入れる者はもちろん限られている
しかし、意外にも車から出てきたのは
ドレスを着て、茶色の長い髪を垂らした少女だった
彼女は2人の執事を引き連れ、大きな扉の前に立つ
するとゆっくりと扉は開きーーー
『おかえりなさいませ。レナお嬢様』
目の前に整列する、多くの執事とメイド達
手入れが行き届いた玄関の天井には豪華なシャンデリアが備わっており、その奥には大きな階段が続いている
この寛大な出迎えを受けた少女の名前は
夜崎 レナ
彼女は逆巻家に続く名家、夜崎家の一人娘である
その彼女の目に1人の男の姿が映る
階段の手摺りからこちらを睨む赤髪の少年