第5章 無知
ルキと名乗った彼は私を馬に乗せ、森の中を駆けた
何故彼はこんなにも私を気遣ってくれるのだろうか....
きっと彼も私と同じヴァンパイア
夜崎という名は魔界でも有名だ
だから....なのだろうか....
でも....私は....
何だか、彼とは初めて会った気がしない....
確か、どこかで....
「おい」
「は、はい!」
突然後ろから声を掛けられ、私は慌てて返事をする
「....何故、夜崎の者があんな所に居たんだ?」
「!」
私は答えられなかった....
それどころか私自身もどうしたかったのか....これからどうするつもりだったのか、全く分からない
黙っているレナを見てルキは話を変える
「....夜崎家の状況は大体知っている
ラルク家が、相当厄介なようだな」
随分詳しい彼に疑問を抱く
「ルキ様は....何故そんなに詳しいんですか?」
「....俺はカールハインツ様と面識がある。だから、色々と話は聞いているんだ」
カールハインツ様と....
これで私の事を知っていた理由も大体わかった
ならシュウ達の事も知っているのかな?
「あと....俺の事を様呼びするのは止めろ。
あと敬語もだ」
「えっ....」
私が少し振り返るとルキは目をそらした
「夜崎の者にそうゆう態度をとられるのは少し複雑だからな
むしろ俺が敬語で接するべきか?」
私は首を横に振る
「じゃあ、ルキ....くん」
レナは少し照れくさそうに呟く
私は逆巻のみんな以外の人とこんなふうに話すのは初めてだった