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Forbidden love

第22章 存在理由



"カールハインツを倒す"

そう言ったお父様の顔は欲望に満ちていた

この人は、何百年もの間....カールハインツの支配する世界でずっと、その座を奪う機会を伺っていた....

その駒としてラルク家に近づき、当主を唆し、デニスをこの世に生み出させた

そして....私も....

全てはお父様の目論見どおり....

「調子に乗るなよ」

「!」

怒りを秘めたその声の主は、剣を片手に持つシュウだった
彼は、一歩前に出る

「お前が、カールハインツを殺せるとでも思ってるのか?

例え、レナの血を手に入れ、デニスに世界を壊させても、全てはあの男の掌の中だ」

祥匙はふっと鼻で笑う

「そんな事、私も分かっているさ

だが....それをあの男が望む相手にさせれば....話は別だろう?」

「なんだと....?」

私はお父様の怪しい瞳に悪寒が走った

お父様の瞳に1人の男が映る

まさか....

「分かっているな、"アヤト"」

「っ!!」

アヤトは不満そうに歯を噛み締める

「どうゆうことだ?」

ルキは明らかに変わったアヤトの顔を見て尋ねる

「カールハインツが最も望んでいることが何か....お前達は知っているか?」

カールハインツ様が望むこと....?

「まさか、お前....」

シュウはある事に気づく

「そうだ。お前達の父親は、お前達のどちらかがこの家を継ぐ事を望んでいる」

「!」

「要するに、あの男は遥か昔から幸福を求めているのだ、この世からのな」

ヴァンパイアにとって幸福とは、"死"であり、それは自由になりうる

「お父様は最初から....アヤトに....」

「あぁ、そう....だ!!」

ーーーーキンッ!!

シュウが一瞬油断した隙に、祥匙は彼の腕を目掛けて剣を振りかざす

「ッ!!」

間一髪かわしたが、腕を抑える手には血が赤い色を付ける

「シュウ....ッ!!」

祥匙は剣に付いた血をはらう

「シュウ。お前は、父親に似て動向が掴めん

だが....」

「っ!!」

祥匙の目がアヤトに向く

「お前は母親に似て、強欲だ

アヤト。お前こそ最強の反逆者に相応しい」


「チッ....」


母親か....ーーーーーー


『貴方は一番になりなさい』


アヤトの耳にはかつて嫌というほど聞いた母の言葉が響いた

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