第21章 反逆
ーーーーやはり、お前は期待を裏切らないな....
1人の男は塔の上で月夜を背にしていた
彼の視線は月明かりの下に見える、
復讐を背負った青年と気高くどこか憂いを秘めた少女に向けられていた
この男の名は『夜崎祥匙』
青年が最も恨む相手であり、全ての黒幕
祥匙は、彼等の反逆さえも利用しようとしている
『ラルク家の一族は我への恩返しの為によくここまで尽くしてくれた
そして、最後の最後にようやくお前は私を殺しに来た....
デニス=ラルク
お前は生贄の花嫁より生まれた特別な存在....
その力でよくここまで壊してくれた』
祥匙は手に持つグラスに口付ける
ーーーーパリンッ
グラスを投げるとそれは簡単に砕け散った
そして、彼は心底幸せそうに微笑む
『お前はまだ若い
だがいずれ、それはこのヴァンパイア界を....私を凌ぐ力となるだろう』
祥匙は軽く手を挙げる
デニス=ラルク
そして....夜崎レナ....
お前達をカールハインツに渡すわけにはいかないーーーーーー
月夜の闇に浮かぶ彼の顔は悪魔のように歪んでいた