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【おそ松さん】六つ子の恋人は六つ子ちゃん!?

第4章 雨に濡れたネコ


〜 菖蒲side 〜



雨の音…人の騒めく音…車の音…
色々な音が周りから聞こえる。
実に耳障りで不快な音…


その音を聞きながら、道路に転がっている生き物だった"モノ"をジッと見つめる。


菖蒲『(あの子…産まれてまだ三ヶ月も経ってないぐらいなのに……)』


決して珍しい事ではない…。
飛び出したネコが車に轢かれるなんてよくある話だ。
けど、生き物の…それもこんな小さな仔の死を目の当たりにして、何も感じないワケない。


ズキリと胸が痛み、思わず胸に手を当てる。





ザワ…ザワ…





菖蒲『(あぁ…ホントうるさい…。ヒドい雑音……)』


周りのガヤは仔猫を見てヒソヒソと喋っている。
みんな言っているのは勝手な自分の都合…人間のエゴ。


菖蒲『(可哀想ってナニ?結局何もしないんでしょ?)』


口では可哀想という言葉を吐くクセに、見てるだけで結局何もしない。
手をポケットから出し仔猫の前まで歩くいく。
仔猫の…正確には仔猫の上半身の前で止まり、仔猫を見下ろす。


菖蒲『(結局…誰も手は差し伸べない……)』


しゃがんで仔猫の上半身を拾い上げ、離れた所まで飛ばされていた下半身も拾い上げると両方とも包み込む様に抱えて目の前の公園に入った。


荒らされるといけないので仔猫には悪いが公園の隅の方に墓を作った。
墓と言ってもただ穴を掘ってその上に石を二つ積んだだけの簡易的な墓だが…。


菖蒲『ゴメンね。今度ちゃんとお線香あげに来るから……』


今は無い上にこの雨ではあげた所ですぐ消えてしまう。
取り敢えず出来た墓を前に両手を合わせて拝む。


菖蒲『(今度生まれてきた時は…沢山生きてね……)』


目を閉じて拝んでいると、雨が突然止んだ。


菖蒲『(あれ?雨降ってない…)』


いや、音は聞こえるので雨は降っている。
だが今自分に雨は当たっていない。


不思議に思い閉じていた目を開いて後ろを振り返ると、見知らぬ青年が傘を差してくれていた。
少し大きめの紫に松のマークがプリントされたパーカーにくたびれたのジャージズボン、それにサンダルといった気怠げな服装。


青年は己の傘を自分に差しかけてくれている。
そのため青年はすっかり雨に打たれてビショ濡れになってしまっている。
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