第9章 「敵意」
「まどか、ごめんね、待たせて」
「ううん、今日は随分盛り上がってるね」
この客は、まだ20代だが大金持ちの親のすねかじりで幾らでも金が出てくる。
「俺、すげーピンチなんだけど、助けてくれる?」
「うふふ・・・・・・太輔がそんなこと言うの初めてだね。いいよ、勿論。太輔のためなら。で?どうすればいいの?」
まるでゲームでもするように楽しそうな表情を浮かべる。
「流石、俺の本命。お前だけが頼りだよ」
「また、そんな事言っちゃって」
太輔は勝負に出た。
「ロマネで乾杯する?」
「ロマネ?そんなに負けてるの?……いいわよ、太輔が本気で付き合ってくれるなら、2本でも3本でも」
「なに?今更。俺が遊びでお前と付き合ってると思ってたの?」
立ち上がり際に頭にキスをして席を離れた。
この400万ほどするロマネコンティで太輔は今月もナンバー1のままだった。