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[R18]ゴミ箱

第3章 ビターリキッド【忍足侑士】


気怠げに身体を起こすと、上にかかっていた毛布が床に落ちて少し寒い室内の空気が直接肌に当たる。
「ねえ、おじさん、時間。」
「………ん」
ハンガーにかかった制服を取り、ワイシャツに袖を通す。
スカートを4回折り、ブレザーを羽織ると渡された紙幣を数えた。
「今夜は……」
「ごめん、今日は予定入ってんだわ。」
ポケットにその紙切れをしまい同時に折り畳みの携帯を取り出す。
何通か来ているメールを確認し、携帯を閉じると私は来る時に履いていたソレをゴミ箱に捨て鞄を持った。
「またね、おじさん。」



夜のネオン街を行くあてもなくフラフラと歩く。
人通りもそこそこ。
シャッターの落書きに背中を預け、携帯を開く。
さっき来ていたメールに返信でもしようかと思うが、直ぐに声をかけられた。
「ねえ、暇?」
人のことは言えないけれど、軽薄そうな金髪のチャラチャラしたオトコ。
鼻につけられたピアスを見て牛みたいだなんて思いながら、作った笑顔で暇っすよと言ってみると遊ぼっかと私の腕を掴んだ。
「ホ別四万。」
「は?」
「だから、ホテル別四万。」
そう言うと牛野郎はなんだエンコーかよ私を突き飛ばした。
ガシャンとシャッターに背中が当たり、手に持っていた携帯が地面に落ちる。
過ぎ去っていく背中を冷めた目で見送り、携帯を拾おうとしゃがむと先に取られた。
「何してるん、こんな時間に、こんなところで。」
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