第3章 君心地、春心地。
桜、あえなく散っていく春。
赤葦京治は、梟谷学園高校に入学した。
幼い頃にバレーボールというスポーツに出逢い、小学校、中学校と部活に入ってそれなりに練習を重ねてきた。
中学校ではそこそこ強いチームのレギュラーになって、試合ではそれなりに頑張っていた。
だけど。
今年からは少し、気合いが違う。
梟谷学園は、男子バレー部の強豪校。
そして、1つ上の学年に凄いスパイカーがいると聞いた。
―――名前は、忘れたけど。
その人にトスをあげられるようになれば、自分もまた1つ成長したと実感できるかも知れない。
「まだ4月上旬なのに」
7割方散っている桜を見て、赤葦はぼそっと呟いた。