第2章 おまえとこれからも
「寄越せあかーしいいい!!!」
都立梟谷学園高校の男子バレー部は、毎年全国出場している強豪校である。
その中でも、全国で5本の指に入るスパイカーと呼ばれるのが、梟谷の大エース・木兎光太郎。
逆立ったグレーの髪と、綺麗な琥珀色の瞳。見た目は少しイケているが、うるさいのが玉に瑕な――バレー部主将でもある。
そんな彼は今日も、自らの相棒と豪語するセッターで副主将の赤葦京治とスパイク練習を行っていた。
「赤葦今日もいいトス上げんなお前ー!最高だぞ!!」
「……はぁ、ありがとうございます……」
赤葦の上げた綺麗なトスを、超高速スイングで捌いてみせた木兎は、自分の手のひらにジンジンと響く痛みを噛み締めながら言う。しかし赤葦の方は、毎回どんなことを言っても返ってくる言葉は変わらない。
そんな、正反対の2人だ。