第6章 ☆徳川家康☆ ~俺の誕生日~
『あっ!!』
ふいに綾が、身体を起こした。
手放したくないと思っていた温もりが意図も簡単に放れていき胸がざわつく。
ちょっと不機嫌になり
『朝から、騒々しいね。』
俺の嫌みも聞こえてないのか綾は乱れた着物をただし
『家康、ちょっと待ってね』
そう言うと、ごそごそと何かを取り出した。
『はい、これ。』
『ん?』
一枚の羽織を手渡される。
『お誕生日おめでとう、家康』
そう言って、俺の頬に口づけした。
一気に顔が熱くなるのがわかる。
『誕生日なんてただ一つ歳をとるだけでしょ、いちいちおおげさ』
素直じゃない俺は、嬉しいのに人からお祝いされ馴れてないせいでありがとうが言えない。
『え…』
とたんに哀しそうな顔をする綾
『そんな事言わないで…。
私は、家康がこの世に生を受けた事
そして…こうやって出逢えた事が本当に嬉 しいの』
『だから、来年も再来年も…すっとお祝いしたいよ…』
そう言うと、下を向いてしまった。