第2章 籠の中のお姫さま。
私は籠の中の鳥。籠の中に捕らえられ鍵をかけられた鳥は 逃げようともせず 何をするでもなく ただ外を眺めているだけ。
だってそれしか出来ないんだもの。抵抗なんて 無駄としか言えない。
「姫様 勉学のお時間ですよ」
『…えぇ』
「今日は読み書きをいたしましょうか。…姫様?窓の外を眺めてどうなさいましたか?何か気になるものでも?」
私は窓の外の景色から視線を外し 私が幼い頃から身の回りの世話をしてくれている侍女のテトに向けた。
黒く艶のある髪をお団子のように結い 私の髪の色と同じ金色の瞳でテトは私を優しく見つめている。
『ねぇテト。私はいつになったら ここから出られるのかしら。どうして母上と父上は 私をこの部屋に閉じ込めるのかしら…』
私の問いかけに テトは気まずげに それでいてとても悲しそうにしながら顔を俯かせた。私とテトの間に沈黙が続く。外から吹いた風が窓を叩く音がやけに大きく聞こえる。
黙り込んでしまったテトに申し訳なくなり 私が笑いで誤魔化そうと口を開きかけたとき…
「…姫様は この暮らしが嫌なのですか?」
『え?』