• テキストサイズ

炎の月に架かる虹【ONE PIECE】

第8章 華の決意


今、ラーラの瞳は優しい視線をサボに投げている。
だが、その奥にある悲しみの色は消えなかった。
何が悲しいのだろう。


「だからって…完全に、じゃないから。」
「ん?」
「完全に許したわけじゃない。」
「あぁ、そういうこと。」
「まだ全部…」
「くれない?」


本当はこういうつもりだった。
<全てくれるよな?>と。
だが一瞬見えた怯えた眼差し。
そんなことを言えば嫌われてしまう。
やっと手にした細い糸。
軽はずみな言動で切れてしまいかねない。


「…ッ、まだ」
「分かった、待つよ。」
「う…ん……」


サボだって辛いのも分かる。
中途半端なのだって理解した。
それでもまだ、先に進むのが怖い。


「怖い。」
「何が?」
「全部。」
「?」
「あなたが…私を壊さない自信ある?」
「え、そりゃ、まぁ。」
「その回答が信用できないの…ごめんなさい…」
「いや、いいんだよ。俺だって大丈夫だからさ!」


違う。
本心なんて丸裸。
分かってる。
でも、許して。
恐怖心は拭えない。


「本当だ。俺は大丈夫。」
「ごめんなさい…。」
「謝られても俺がコアラに怒られるんだ…。」
「だから…」
「ん?」


ちゅ、というリップ音とともに唇が重なった。
身長の高いサボに対して背伸びしてキスをした。
すぐに離れていくその頬に、手を伸ばして今すぐにでも深い繋がりにしたい。
そんなことはしたら即アウトだ。
だがそれと同時に驚きもあった。


「…ッ」
「ラーラ?」
「わ、私は…これくらいしか……」


頬をほんのりと染めたラーラ。
愛おしくて堪らない。
サボは勢いに任せてラーラを抱きしめた。


「俺、すっげェ嬉しい!」
/ 93ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp