第4章 華の言葉
「安心しろよ。」
「え…」
いきなり言われて戸惑った。
一体どういう意味だろう。
「お前を守る。」
「ッ…!」
「お前に手を出す奴らは全員俺がぶっ飛ばしてやる!」
「勝手なことしないで。」
一瞬でラーラの視線が、サボの苦手な心を覗くような視線に変わった。
サボは口を閉じた。
やはり慣れない。
「自分の身は守れる。それに助けなんかで私の死を妨げないで。」
「何言ってる。」
「私の目的は最初から死。でもアーシャには殺されないと言ったでしょ。」
「お前は死なせない。」
「私は死ぬの。」
苦手な視線に背筋を凍らされたサボは目を逸らした。
ラーラは踵を返して室内へ戻った。
目的は変えない。
たとえここにいたとしても決して変えない。
そのときラーラを含む全員が気づかなかった。
琥珀の涙が淡い光を放ったことを・・・
「勝手…だと……?」
許すわけがない。
勝手なのはそっちだ。
いきなり死なれても困るのは俺だ、俺たちだ。
「あいつから目を離さない方がいいかもな。」
下手したらすぐにでも消えてしまうかもしれない。
突然死ぬかもしれない。
そうなったときに止められるのならそうしよう。
監視役は・・・
「俺でいい。ぜってェあいつを死なせない。」
「死なせてよ…。」
私が死ななきゃ目的は終わらない。
リオ一族完全滅亡。
不完全燃焼で終わるわけにはいかない。
私は双剣をシルラ宮殿に戻して死ぬ。
アーシャを倒して終わる。
「誰も私を止められない。」
私を止められるものはいない。
信念よ。
このまま前に進む。
ゴールの名は<死>でいい。
「…ッ、守る必要はない。どうせすぐに死ぬのよ。」
私をこの世から消し去らなければ平和は訪れない。