第4章 華の言葉
「やっぱ食べるじゃない。」
「腹減ったんだ!」
「だからって…」
サボは間食していた。
案内してもらうはずだったのに。
ラーラはサボの隣に座った。
「食べすぎ!さっさと案内してよ!」
「ちょっと…待ってくれ。」
「もお!」
「お前も食えよ!」
「そんなに空いてないし。」
あんまり食べないの。
そんなに食べたらいざというときに動けなくなるじゃない。
自分の足を自分で引っ張るのはごめんだわ。
「危機感がないって…」
「ここは安全だからな!」
「そうじゃないわ。少しくらいの飢えに耐えたほうが身のためよ。」
「まーまー。」
ラーラは琥珀の涙を握った。
「じゃあもし…」
琥珀の涙を鞘から引き抜いてサボの顔の横に持ってきた。
サボは驚いて身を引いた。
「こうやって仲間に裏切られたら?」
「お前はしねェだろ…?」
「しないわ。けどそういう危機感を持ちなさいって警告したのよ。」
「危ねェからしまっとけ。」
「分かってるわ。」
ラーラは剣を鞘にしまった。
そしてサボを無理やり立たせた。
「分かった?行くから案内して!」
「分かった分かった!」
サボは名残惜しそうに案内を再開した。
ラーラに資料室、事務室なんかを案内した。
「これで一回りしたはずだ。」
「どうも。私の仕事は何?」
「あ、考えてねェや。」
「ちょっと…!」
「悪い悪い。明日までに割り当てとくから。」
ラーラはバルコニーから沈む夕日を見に行った。
「綺麗!」
「だろ?」
「私さ、倒したい相手がいるの。」
「倒したい相手…?」
「海軍中将エリィアーノ・アーシャっていう…」
「何でそいつを?」
「私たちリオ一族の秘密を握ってる。そして私を手に入れようと狙ってくるから。」
サボは身を固めた。
今すぐにでもそのアーシャが襲ってくるのではないかというように。
「そいつにだけは殺されないわ。」
「そうか。」
「それにあいつは…」
「ん?」
「琥珀の涙の双剣、翡翠の血を持っているの。」
取り返して見せるわ。
絶対にアーシャを倒すの!