第3章 華の名前
「にしてもお前よく食うな…。」
「悪い?」
「いや別に…」
対応の仕方は確かにラーラの方が上だ。
サボはキッチリと返されて戸惑ってばかりだ。
こういう場合はラーラの方が上手だ。
「で、私をどこに連れてく気?」
「本部へ向かってる。」
「…。」
ラーラは本気で革命軍になろうと思っていなかった。
隙があれば逃げ出すつもりでいた。
ラーラは自身の手を見つめた。
薄い手袋で覆われた手を・・・。
「お前のその手が世界を破壊するんだろ?」
「だから手袋つけてるのよ。」
「触ったもの全部か?」
「えぇ。」
「だったらなんでその手袋平気なんだ?」
ずっと不思議に思っていた。
一体何故・・・?
「この手袋透明っていうか白いでしょう?」
「あぁ、そうだな。」
「この手袋はペガサスの翼でできたものなのだと伝えられたわ。」
「ぺ、ペガサス!?」
まさか・・・。
いるのかよ、ペガサスなんて今時・・・。
サボは疑うようにラーラの手袋を見た。
「伝えられただけだから。でも、これはとても不思議よ。」
「へェ。」
不意にサボはラーラと目が合った。
深い琥珀の目と・・・。
琥珀色の瞳なんて今までよく見かけてきた。
それでも思う。
ラーラの瞳は一番きれいだと。
まるで本物の琥珀のようだと。
「何?」
「お前の瞳綺麗だな。」
「でも、リオ一族ではこの色は私だけだったから。」
「そうなんだな。」
一族は全員グレーだったから。
私だけ目立っていたわ。
でも気にしなかった。
私は私だもの。
「…もう皿下げていいか?」
「自分でやるわ。」
「人に頼れ!」
「余計なお世話。」
何もかも一人でやろうとするラーラ。
だが、団体行動となればそれは足を引っ張ることになる。
ラーラは今まで一人だったから頼ることをしなかったんだと思った。
「なぁ、頼ったり任せたりすることは大切だぞ?」
「そんなことしたら自分が弱くなるだけだわ。」
「そんなことねェよ。」
「いいえ、私はそう思っているわ。」
ものの捉え方は誰もが違うのよ。
私もあなたも共通点はないわ。