第3章 不気味な部屋
【オマケ話】
これは不気味な部屋にて、天井から無残な姿で吊るされているのが人ではなく、人形だとわかってからのお話。
人形だとわかっていてもあまり直視したくなくて、私は目の前で人形を見ながら、時に人形をかき分けながら部屋を物色しているシロノを眺めていた。
「………」
私は思った。(いや、何度も思ったけど)
シロノは目が見えているのだろうか?と。
彼の両目は包帯で覆われている筈なのに、不思議な事に一度も目が見えないというような素振りを見せないのだ。
つまりは、ちゃんと見えているという事になる。
なんで!?その包帯実は穴でも開いてるの!?
私は思い切って聞いてみることにした。
「ねぇ、シロノ」
「なぁに優衣ちゃん」
「あの…、シロノのその目、前見えてるの?」
「うん、見えてるよ。どうして?」
「いや、だって包帯してあるのになんで見えるのかなって…」
そう言うと、シロノは首を傾げてうーんと唸った。
「まぁ正確には“見える”って言うより、“感じる”って言った方が正しいのかな。
そこに何があって、どうなっているのかを感じ取ることが出来るから、視覚的には見えなくても問題はないよ」
「…………」
「だから、優衣ちゃんの事もちゃんとわかるから、安心してね」
「……うん。それはいいんだけどシロノ、さっきから話し掛けてるソレ……
人形だよ」
「…え?」
「…………」
「アッハハハハハ!本当だ!優衣ちゃんはこんなに硬くないよねぇ」
シロノは人形を触りながらケラケラと笑った。
感じ取ることが出来るんじゃなかったのか。
見えているんだか、見えていないんだか…。
後に聞こえてきたゴンッという音が、シロノが人形に額をぶつけた音だとわかった時はもう不安しか感じなかった。
【chapter3 オマケend】