第21章 >>19 俺とキミの過去な件(研磨side)
「~!プリ撮りたいから、早く財布出して!」
何だか騒がしいなと思って見てた。
興味も無ければ、助ける気なんてさらさら無かった。
そう言えば聞こえはいいけど、実際は怖かった。
目の前に広がるその《いじめ》の現場は、自分と重なって息をするのも辛くなった。
そこにいる少女は、何も言わず財布を差し出して笑っていた。
「何で...。」
声をかける勇気もない。
何だか悔しいと思いながらも目を離せなかった。
次の日も、その次の日も。
その少女はそこにいて。
いつものメンバーに財布を差し出して、笑っていた。
「あー...何かつまんない。」
「うんうん。飽きたよねー。」
「、明日飛んでみてよ。1回だけ。」
「私死ぬ方に2000円。」
「じゃあ私も死ぬ方に。」
ある日、そんな会話が聞こえてきた。
楽しげに、何も違和感が無い会話なのに吃驚する程恐ろしい内容だった。
それなのにその少女はいつもと変わらず笑顔で。
『私に出来る事なら、するよ。』
それが彼女を最後に見た姿。