第11章 >>9 ただただ痛い件
『痛いっ!抜いてっ…!』
「やっぱり処女だったァ…最ッ高…!」
何度も何度も腰を掴まれ打ち付けられる。
太股に伝う血が、恐ろしかった。
逃げる様に壁に爪をたてる、倒れそうになる身体を、意識を、何度も心で励ました。
「何で、こんな事するの?って…思ってる?」
荒くなる息と言葉が耳元で囁く。
彼の冷たい指が、唇をこじ開けて口内に入り込む。
「好きな子程…ッ…はぁっ…虐めたいデショ…ッ!」
子供。彼は子供なのだ。
痛みに思考が奪われてく中で、それだけははっきりわかった。
「好きな子のっ、全部が欲しいからっ、…血も涙も唾液も、全部ッ…!」
『ふぁけ…ッ…んんん!』
訳が分からない。
痛い、怖い、冷たい、悲しい、苦しい、全部が今彼に植えつけられた感情感覚。
彼はそれがはじめから目的だったのだ。
岩泉の家で会ったあの瞬間から、彼の度が過ぎた《意地悪》は始まっていて、帰り際にキスしたのも、あそこにあのタクシーが来たのも、全部全部計算されてた事なのだ。
それがわかった途端、漠然とした恐怖は思い出として心を裂く。
「ちゃん。紫色に染まっちゃいなよ。」
その言葉を最後に、必死に繋ぎとめていた意識が途切れた。
最後に見えた景色は、自分の爪痕だらけになった壁と、床に散らばる小さな自分の血だった。