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【おそ松さん】私の猫

第2章 出会い


仕事の帰り道、私は路地に向かう。
繁華街の外れ、ジメジメした路地の奥には、数匹の猫が集まっている。
本当は野良猫に食べ物を与えるのは良くないことだと解っている。
でも、ペットを飼うことのできない住まいにいる私にできるのはこれくらい。
都会の片隅で生きる猫に、どこか自分を重ね合わせているのかもしれなかった。

ある日のこと、少し早い時間に路地に足を向けると、路地の中から大きな音がした。
誰かが爆竹でも仕掛けたのだろうか。
咄嗟によぎったのは、人馴れている猫たちだ。
被害にあっていないだろうかと心配で路地の奥をのぞくと、幸い猫の姿はなかった。

辺りを見回しても、どうやら被害はなさそうだ。
安心したとき、地面にネコじゃらしが落ちているのに気がついた。
昨日まではなかったもの。
そして、誰か人間がここに入ってきた証。

私はいつものようにキャットフードをカバンから出しながら思った。
悪意のある人に見つかって、猫がどこかへ連れ去られたり、殺されたりしなければいいのだけれど。

だが、そんな私の悪い予感は的中することになる。
それからしばらくして、この街のあちこちに、猫が痛々しい姿で晒されるようになったのだ。
初めは、小学校の校門だったという。
同一犯なのか、模倣犯がいるのか、被害に遭う猫は増えていった。
猫の次は人間なのではないか……そんな噂さえまことしやかに流れていた。

私は相変わらず路地に足を運びながら、こうして野良猫に食べ物を与えていることすら、苦しい思いをさせる猫を増やすことにつながっているのではないかという、空しさを拭いきれなかった。
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