第1章 プロローグ
私は今、猫を飼ってる。
気が向いたときに私の家にきて、そばで眠り、フイッとまたどこかに行ってしまう。
気が向かなければ、何日も姿さえ見せることのない、気ままな猫。
ネコといっても、ふつうのネコじゃない。
ボサボサの毛をなでると、とろんとした目を一層細くして気持ちよさそうにしている姿は普通の猫みたい見えるけれど。
紫のパーカーに着古したジャージ、素足にサンダル、ボサボサの髪の毛。
半目にマスクと、見た目は多分不審者だ。
とんだ野良猫になつかれたものだ、と、人は言うかもしれない。
でも私は知ってしまった。
この猫と一緒に過ごす時間の心地よさを。
この猫に愛される快楽を。