第6章 ウェディングブーケ
次の日。
昨日の企画書の件で早瀬さんを探す。
彼女は、体育館の2階席から練習を見ていた。
『早瀬さん、企画書の件で…』
『あぁ、目を通して今朝、上にあげといたから。』
『昨日は、遅くまでお楽しみだったんですか?』
『遅くまで?お楽しみ?』
『…及川さんとの約束ってやつ、気になるなぁ。』
『…月島君、まさかの盗み聞き?!』
『人聞きの悪いこと言わないで下さいよ。
作業完了を報告しようと思って
早瀬さんを探したら、
資料室から声がしたんで。』
『聞いちゃった、ってこと?』
『聞こえちゃった、の方が正しいですね。』
彼女は、苦笑いをする。
『とても、つきあってる風には
聞こえませんでしたけど。』
『つきあってなんかいないわよ。
及川が女性を一人に決めるなんて ありえない。
そんなこと、月島君もよくわかってるでしょ。』
『スリルを楽しむ大人の関係?』
『意外と食いついてくるのね、月島君。
もしかして、意外とこの手の話題、好き?』
『好きってことはないですけど。』
『及川とのことは…
まぁ、私の仕事の1つ、ってことで。』
『…』
『納得してない顔してるなぁ。
そうよね、確かに月島君には
及川の面倒事、あれこれ頼んでるし、
聞いちゃったんだったら気になるよね…』
早瀬さんは、
思い出すように話し始めた。
『及川が全日本に入って
2年くらいたった頃だったかな…』