第6章 ウェディングブーケ
他人の情事をのぞき見するほど
悪趣味じゃないけど、
そんなことを考えていたら、
二人の会話が耳に入ってきた。
『ねぇ及川、
今日はどんな女の子と会ってたの?』
『女子アナ。
インタビューのあと誘ったらすぐついてきた。
見るからに玉の輿狙いって感じだったよ。
それなら、
俺じゃなくて野球選手にしろって話…
でも、おっぱいでっかかったし、
感度もよかったから
退屈はしなかったけど。』
『ふーん。で、約束、守れた?』
『もちろん。
だから続きをしに来てるんじゃん。』
『だからって、ここじゃなくても…』
『イヤだ。すぐ、シたい。
早瀬の仕事が終わるまでガマンできないよ…』
会話の間には、
あえぎ声や水音もきこえてくる。
さすがにこれ以上ここにいるのは、心苦しい。
企画書は早瀬さんの机に置いて
俺は先に会社を出た。