第20章 未来への扉
おねだりしてくる夏希の顔は
もう我慢できない、という
切なそうな、淫らな顔。
『…手、ここ。』
大きな鏡の前。
シャワーフックのついたバーを
両手で掴ませ、
そのまま腰をつかんで
バックから突き上げる。
鏡の中に、二人の全身が写る。
声がバスルームに響いて…
『ぃゃ、ぃゃ、ぃゃ、ぁ、ああっ、
もう、ゃ、どうしよう、どうしよう、』
『どうしよう、じゃねーだろ?』
『ぅぅぅ、また、イ、ク…ぁぁぁぁっ…』
夏希の体の痙攣を感じて、
俺もギリギリまで我慢し、
直前で引き抜いたソレを
夏希の背中の上でしごいた。
勢いよく飛び出す、白。
夏希の背中の上に
達した跡を残しながら、果てる。
こんなセックス、初めてした。
『ごめん、すぐ流すから。』
『もりすけ、』
夏希が、裸のまま抱きついてくる。
『やっぱり狼男だね。
変身した姿も、カッコいい!』
『んなこと言ってっと、
まぁた、喰われるぞ(笑)』
もう一度、シャワーで洗い流して
興奮したままバスルームを出た。
『あぁ、失敗したぁ!』
夏希がもったいなさそうに言う。
『どした?』
『せっかくワイナリー行ったのに、
自分達のワイン、買うの忘れた!
今、猛烈に飲みたいのにっ。』
…そういえばそうだ。
自分達には、グラスしか買わなかった。
『…クロの、飲んじゃうか?』
『ダメでしょ?』
『でもほら、お土産なら、つまみがあるし。』
『…もりすけが、そんなこと言うなんて。』
『言っただろ?ちゃんとは止める。
目の前の夏希が一番大事、って。』
『…じゃ、あけちゃう?』
いたずらっぽい目。
ほら、やっぱり、猫だ。
イタズラ好きな、仔猫の顔。
グラスも簡単に洗い、乾杯することにした。
頑丈なワイングラスに注がれる、
本当だったらクロのお土産に
なるはずだった白ワイン。
『乾杯!』
グラスが、ゴチン、という
ワイングラスらしくない音をたてるから
俺たちは笑った。
『ん!おいし~い!
ちょっとだけ、もう一杯!』
…ワインを飲みすすめるうち、
『ね、おつまみ、欲しいよね』
という話になり…
案の定、クロの為に買ったはずの
おつまみを開けてしまい、
『クロ、ごちそうさま…(笑)』