• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉



お昼は、
茅葺き屋根の古民家レストランで
その土地の代表的な郷土料理
…きしめんよりまだ太い麺?とか
野菜がたくさん入った、鍋的な…
だった。

帰りのルートの途中には
ワイナリーの見学も入ってて、
試飲しながら買い物。

『ね、初めての遠出の記念に、
何か、買いたいなぁ。
…ほら、これとか、どう?』

夏希が手に取っていたのは
ワイングラスには珍しい、
ポッテリと分厚くてステムも太く短い、
個性的な形のワイングラス。

『これだったら、ワインに限らず
日頃から使えそうだよ!
持ち帰りにも
そんなに神経使わなくてよさそう。』

持ち上げて、光にかざしてみる。

中に、プツプツとした気泡。
…再生ガラスを使っているらしい。
よく見ると、1つ1つのグラス、
その気泡の入り方や歪み具合が違う。

つきあって、
別れて、
再会して、

ぶつかって壊れかけて、
また仲直りして…その繰り返し、

繊細さなんてカケラもない
再生交際(笑)の俺達には、
このくらいの頑丈さと個性が
よく似合うのかも。

再生デートの想い出に。

これを見るたびに、
今日のことを思い出せるように。

…もう、同じ失敗をしないように。

『いいじゃん、買おう!』

二人でそれぞれお気に入りを選んで
レジに向かう途中、ふと思った。

『な、クロにも何か、買わね?』

『うん、仲直りの報告と御礼、しなきゃ。』

二人で、クロをイメージしながら選ぶ。

『一人で家飲みしそうだから、
切ったりする手間のかからない
こんなおつまみがいいんじゃない?』

『じゃ、それにあわせて…ワインは白か?』

『うわ、ちょっと待って、こっちも捨てがたい!』

『(笑)それも、買えよ。』

サンマが好きなクロだから(笑)
魚介の薫製とオイル漬けのセット、
このワイナリーで出来た白ワイン、
そして、ガーリッククラッカーを選び、
グラスと一緒に支払う。

…大人のデートをしてるな、
という、なんともいえない充実感。

こんなにゆっくり、夏希と過ごしたのは
高校の頃から考えても初めてかもしれない。

試飲したワインの酔いと
満ち足りた気持ち、
そしてバスの中に射す
オレンジ色の夕陽。

どれも心と体を暖かくして…

バスでの帰りの道のりは、
俺も夏希も
グッスリ眠って過ぎていった。


/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp