• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉



『わりぃ、先に上がらして。』

…早瀬の返事も聞かず、
6時半には職場を出た。
今日は、絶対に遅刻したくなかったから。

絶対間に合うってわかってるのに、
いつもの習性で、つい走ってしまう。

待ち合わせ場所の、あのカフェバー。

俺が先に着いたのは、
初めてかもしれない。

よく夏希が待ってる
外が見える席に座って、

とりあえず…
ビールってわけにもいかないから
ペリエ。
少しでも気分をスッキリさせたい。

落ち着いて周りを見渡す。
カップルか、女性同士。
どの顔も、楽しそうだ。

テーブルに届いたペリエを飲んだら
少し、気持ちが落ち着いた。

…待つのって、長く感じるな。
待たされる方の気持ちを初めて知る。

楽しそうなカップル見ながら、
一人で何十分も待つのって、
イヤだっただろ?

いつもごめん、って、謝ろう。

そんなことを考えながら、
外を眺めていた。

夏希、俺が先に来てるの見たら
びっくりするかな?
ここから手を振ったら、
あわてて走ってくるかも。

…あ、来た。
手を振ろうとして、戸惑う。

クロと、海君の間に挟まれて
転がるように笑う夏希。
こっちなんか、チラリとも見ない。

手を振ろうと上げかけた右手を、下ろす。

…俺、嫉妬してる。
俺より、
クロや海君といた方が、楽しい?

ダメだ。
笑顔で会う自信がない。
多分、すごくダメな言葉を
言いそうな気がする。

好きな気持ちが
裏返しになってる。

そんな、
ひび割れかけた思いを修復出来ないうちに、
夏希達が、店に入ってきた。

『あ、もりすけ!うわ、びっくりしたぁ。
今日は先に到着だったんだね、
待たせてごめん。仕事、早く終わったの?』

『うん。』

『じゃ、俺らの役目はここまでってことで。
あとは二人で仲良くどーぞ。海、帰ろーぜ。』

『…ちょっと、待てよ。』

夏希と、クロと、海君、
六つの瞳がこっちを見る。

…俺は、
誰に向かって
何を言おうとしてるんだ?


/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp