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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉



『…行ってこいよ、
キレイだったら、俺にも写メして。』

『…いいの?』

なんとか、
笑顔を作った…つもり。

『いいに決まってるじゃん。
知った顔ばっかりだし。
皆が揃うこと、滅多にないしな。
俺の分まで、楽しんでこいよ。
なぁクロ、夏希は方向音痴だから
ちゃんと捕まえといてやって。』

『へいへい、エスコート、承りました。
夏希、話してみてよかったじゃん。』

…なんだよ、
クロや海君に、相談してたのか?
俺に言ったらダメって言われる、とか?
もしかして、
俺に言わずに行こうと思ってた、とか?

夏希の、
少しだけおずおずとした声。

『ねぇ、もりすけ、明日の夜は?』

夏希が俺の膝に置いた右手を、
つい、無造作に払いのける。

自分でもびっくりするくらい
冷たい声。

『あ?明日の夜?
明日は、昼のお客さんだから、
遅くならないと思うけど。』

夏希が、
行き場をなくした右手で
何事もなかったように
ネックレスを触りながら言った。

『じゃ、夜、デートしよ。
紅葉狩りのこと、報告したいから。』

『…わかった。
7時に、いつものとこで待ち合わせな。』

なんだろ。
出来事としては
なんてことないことばかりなのに、

全然スッキリしないこの気持ち。

その日は、どんなに飲んでも酔えなくて。
でも酔ったふりをしてないと
自分の心の狭さを認めてるみたいで。

『遅れてきた分、取り戻す!』
とか言いながら必要以上にはしゃいで、

先に帰った夏希を
駅まで送ることもしなかった。

あんまり覚えてないけど、
多分、バイバイも言ってない。

ホントは
いつもと違う雰囲気の夏希に
キレイだよ、って言いたかったのに。

出来ればどこか物陰に隠れて
こっそりキスくらいしたかったのに。

だから
走って行ったのに。

なんで、こんなことになったんだろ。




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