第20章 未来への扉
冷えたシーツの上に、
二人の熱い体。
俺の腕枕のなかに
すっかり大人しくなった
仔猫のような夏希がいる。
『お前…リスみてーだって思ってたけど…
なんか、ネコだな。シャム猫みたい。』
『なんの話?』
…さっき、
シャワーを浴びてる時に考えたことを
夏希に話してみた。
音駒のみんなを動物に例えると、って話。
笑ったり頷いたりしながら聞いてた夏希が
最後に言った言葉に驚く。
『…もりすけが一番、狼男だと思うけど?』
『えっ?なんで?
どー考えたって、クロかリエーフだろ?』
『クロは、狼男じゃなくて、狼。
変身しなくても狼だもん。
見た目も、策略家なところも、
一人が似合う感じも。
リエーフは、
名前の通り、ライオンでしょ。
ガオガオ吠えて噛みついてるか、
しょげて、全く役に立たないか、
どっちかな感じ。』
『…何で俺は狼男?』
『変身具合が。
…あんなに激しいHするなんて思わなかった。
見た目と違う。あたし、狼さんに食べられた。』
『それを言うなら、お前もだろ?
むしろ、俺の方が食われた気分だ。
もう今日からは、俺以外の男の前で
あんな変身、するんじゃねーぞ。』
クシャクシャ、と頭をなで回す。
ウフフ、とくすぐったそうに笑う夏希。
『じゃ、約束して。』
『何?』
『前みたいに、放っておかないでよ。
淋しいの、嫌いだから。
社会人だから、前より忙しいって
わかってるけど…
ちょっとでもいいから、気にして。』
…自然消滅は、
お互いの気持ちが離れたんだと思ってたけど、
夏希は、淋しかったのか…
言えばいいのに。
自由なヤツだし
友達も多いし、
忙しそうだから、
会わなくても平気なのかと思ってた。
言わなきゃ、わかんねーよ。
『…ごめん、気付かなかった。
俺、あんまり、女心とかわかんねーよ、多分。
…だからさ、夏希も、
勝手に我慢したり
勝手に諦めたりしないで
ちゃんと言えよ。
会いたいとか、淋しい、とか。
言わねーと、わかんねー。
…前みたいな別れ方、したくねーからさ。
なんでもハッキリ言うから、
夏希は付き合いやすいし、
夏希が好きなんだ。
な、約束。我慢、禁止。』
『わかった。』