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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第20章 未来への扉



唇を離す。

見つめあう。

もう、これしか言えない。

『…今すぐ、俺のものになれ。』

『うん。』

単純な欲望、もある。

でもそれより、
他の男と別れたばかりの夏希を
俺のものだと確認したかった。

いいんだろ?
俺が抱いてもいいんだろ、
俺に抱かれる覚悟があるんだろ、って。

近くのラブホへ向かう道のり。
カップルや酔っ払いの通る
繁華街の賑やかさの中で

俺達は
ほとんど口をきくことなく、
ただ、並んで歩いた。

はやる気持ちを抑えるように、
わざと、ゆっくり、ゆっくり。

がっついてるみたいにならないように。


夏希を抱くのはどのくらいぶり?とか
夏希は前の彼にいつ抱かれた?とか

そもそも俺は"彼女"という存在と
寝るのはいつ以来だっけ?とか

夏希はどんなセックスが好きなんだろう

とか、

いろいろなことが
断片的に思い浮かぶけど、

何一つ、答えは見つからず、

闇に浮かぶ
必要以上に明るいネオンの前で

もう1度、確かめる。

『まだ早い、とか
今日はやっぱりやめて、
とか言うなら、今だぞ。
ここ入ったら…
俺、止めらんねーから。』

そっと、俺の腕を掴む、夏希。

『新しい私に、してほしい。』

彼氏が変わる、というのは、
女性にとっては
生まれ変わるくらい、大きな出来事。

何しろ、
自分の全てをさらけ出した姿を
また一人、
見られてしまうのだから。

…結婚相手と出会うまでに、
どれだけの男に、体をさらすのか。

俺と別れてから今日まで、
どれだけの男に、見せてきたのか。

もう、
俺で終わりにさせたい。

夏希の裸を見るのは、
最初も、最後も、俺だ。

そう思った。

『行こう。』

ぐっと肩を抱いて
バサバサしたビニールの暖簾と
チカチカしたライトの門をくぐりながら

チラリと夏希の顔を見る。

少しうつむいて、
恥ずかしげだけど、
でも、迷いのない表情。

安心した。
勢いじゃないんだな。

止まっていた二人の時間が
これから、動き始める。

二人きりの部屋へ、
二人きりの時間へ、

扉が、開いた。


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