第20章 未来への扉
『それ、いつの話?』
『一時間くらい前。そのまま、ここに来た。』
『…お前、後悔してねーの?』
『してない。もう、完全に冷めた。』
『そっか。それならいいけど…』
『だからもりすけ、』
『ん?』
…もしや、この流れ…
『私を、もりすけのものにして。』
…聞きたかったのは、この言葉。
そう、待ってたのは、この言葉。
だけど…
『夏希、本気で言ってんのか?
それ、勢いとかで言うことじゃねーぞ?』
『うん。
この間、会ってから、ずっと考えてた。
もう1回、もりすけとやり直したい。
高校生の恋愛ごっこじゃなくて…
大人の、ちゃんとした恋愛、したい。』
…ガタン。
鞄と上着を手に取る。
もう片方の手で、夏希の手を掴んで。
『来いよ。』
『…もりすけ?』
店を、出る。
駅とは逆の方へ。
『…ちょ…もりすけ?』
ぐんぐん、歩く。
気持ちが、
心臓が、
どうにかなりそうだ。
『…手、痛いよ、もりすけ…』
ビルの陰。
もう、我慢できねぇ。
『俺だって、あれからずっと…待ってた。』
ゴトッ。
鞄と上着を足元に落とす。
バンッ。
壁に、夏希をおしつけて、
キスを、
した。
『…んっ…ちょ、』
ダメだ。
もっと。
『…も、…す、け…』
抵抗してた夏希の力が抜けて、
夏希も小さな鞄を地面に落とし、
俺の背中に手を回す。
高校生の頃のキスとは違う。
夏希の唇が開いて
俺の舌を誘うように
夏希の舌が現れる。
あの、
笑うとかわいい真っ白な前歯。
裏側まで舐める。
夏希の腕が俺を抱き締めるたびに
体が密着する。
固くなった股間が
夏希に押し付けられて、
頭が爆発しそうだ。
大人の、
ちゃんとした恋愛、
するんだろ?
大人になった俺を
受け止めろよ。
大人になった夏希を
見せろよ。