第20章 未来への扉
翌日のショー。
俺は今まで、これほど
ウェディングドレスを
じっくりと見たことはない。
ランウェイを歩くモデルさん達は
みんな、独身で、もちろん素人。
プロとは違うから、顔はもちろん
年齢や体型も、様々だ。
それでも、
プロが選んだ衣装にヘアメイクは
一人一人、本当によく似合っていた。
みんな、今すぐにでも
花嫁になれそうなくらい。
…やっぱり夏希が
一番可愛かったと思うのは
俺のひいき目なんだろうけど(笑)
オフホワイトのクラシックレースが
優しい印象のAラインのドレスに
花のコサージュでできたベルト、
そして、下ろした髪に花冠、という
ロマンティックなウェディングドレス。
いろんな素材の布で
ブルーのグラデーションになっている
カクテルドレスは、
青い花と青い鳥のモチーフが
たくさん施されていて、
ビスチェタイプの上半身は
白と紺のレース。
髪には、青と白の大きな花飾り。
幸せを呼ぶ『something blue』を
思わせるコーディネートが
夏希の小柄な体一杯に広がる。
俺は、
はにかみながらも
ドレスに負けないほど輝く
夏希の笑顔に釘づけだった。
あの笑顔、
もう一度、
俺のものにしたい。
攻めて、いいかな?
今の彼氏と別れて
俺んとこ、来いよ、って。
…仕事で、数えきれないほどの
ドレスやモデルや花嫁や披露宴を
見てきたけど、
自分のことを…
誰かのことを考えながら見たのは
初めて、だった。