第20章 未来への扉
…そんな、
ほろ苦く、ちょいエロいことを考えていると
早瀬に答えている夏希の声が
聞こえてきた。
『…夜久君、私の初恋の人だから。』
"初恋の人"
…甘くて切ない、
そして心地よい響きの言葉。
『え?そうなの?
先に夏希ちゃんが好きになったの?』
『うん。
だから私、なんとかしてそばにいたくて
バレー部のマネ、したんだもん。
夜久君、他の男子みたいに
フニャフニャチャラチャラしてなくてね、
すっごく男らしくてカッコよくて…
あの頃から。』
…あの頃から、ってことは、
今もそう思ってる、ってこと?
そう解釈する俺は、勝手か?
"別れそうな彼氏"のことが
気になる。
気になる。
気になる。
ハッキリ言えば、
もう1回、夏希とやり直したい。
自然消滅した高校時代の恋を
もう一度、
"男子と女子"だった"恋"を
今度は、
"男と女"の"恋愛"に。
それって、
すっげー、
ドキドキじゃね?
あの頃じゃ出来なかった
いろんなこと、してやれると思うんだ。
言葉も
時間も
お金も
知識も
経験も
あの頃より、たくさんある。
あの頃より、自由なんだ。
…明日。
ショーが終わったら、聞いてみよう。
夏希の彼氏のこと。
…別れるかも、
なんていうなら、奪いたい。
目の前のチャンスは
とにかく、拾う。
リベロ魂、だ。