第20章 未来への扉
『明日のショーの成功を祈って、
せーの、乾杯!!』
…3人で、居酒屋。
俺だけビールで、
夏希と早瀬は烏龍茶だ。
『明日、むくんだ顔で出たくない~』
という夏希と、
それにつきあう早瀬
コイツら、もうすっかり、友達じゃん。
『んで?聞かせてもらおうかな?
君達は、つきあってたの?ん?ん?』
早瀬の真っ直ぐな質問に
顔を見合わせる俺達。
…付き合ってた、とはいっても
部活してた頃は、一緒に帰るくらいで
あとはほとんど教室か体育館で
過ごしてたわけだし
大学入ってからは、
ほとんど大した思い出はなかったから…
ちょっと親しかった仲間、
と言う方が近いくらいの
感じになってる。
でも、確かに、
お互いにとって忘れられない人なんだ。
だって、
お互い、
初めてのセックスの相手、
だったから。
…俺の部屋で、
家族にばれないように
密かに抱き合った高3の夏。
脱がせるのももどかしくて、
制服のシャツもスカートも
捲りあげただけで。
ブラのホックを
うまくはずせなくて。
いざというとき、手が震えて
ゴムをつけるのに手間取って。
気持ちいいとかそういう余裕は
お互い、全然なくて、
それでも、ハジメテ同士、
スッゴク嬉しかった。
会わなくなるまで
何度か寝たけど、
結局、
慣れないままだったな…
今ならもっと、
ちゃんと夏希を
女として喜ばせてあげられるし、
俺も、女の夏希を味わう余裕も
あるはずだけど。
でも、今、夏希は
他の男のもんだ。
…早瀬の情報では
別れるかも、って言ってたけど…
さすがに、今、ここで
それは聞けねーな。