第20章 未来への扉
『…てかさ、なんで早瀬が
そんなことまで知ってんだ?
お前らこそ、知り合い?』
『違うよ。今回の企画で初めて会った。』
…なんでも、
もともと応募してきてたのは
夏希の友達だったらしい。
その友達が急に来れなくなって
代役として一人で参加することになったのが
夏希。
後から、しかも一人で参加なので
早瀬が何かと気にかけ、
いつも声をかけてるうちに
親しくなったそうで…
納得いく。
夏希と早瀬は
ちょっと似てる。
ハッキリした明るいキャラ。
テキパキしてるところ。
面倒見がいいところ。
今は、夏希は髪が長いけど、
ショートヘアだったら、
見た目も早瀬に似てるはず。
『…く君、夜久君っ!』
『あ、わりー。なに?』
『なに?は私のセリフよ!
なんでジロジロ私を見んの?』
『いや、早瀬と夏希って
ちょっと似てんのに、俺、なんで
お前のこと全然、女として
意識出来ねーんだろ、と、思っ…
いっでーーーっ!!』
俺の手から奪い取った黒いバインダーの
ちょっきり角で頭を殴りやがった。
こういう暴力的(笑)ところは、似てないな。
夏希は、ハッキリしてるけど案外、優しい。
…優しかった、気が、する。
もう、思い出しかねぇから、
ちっと美化してっかもしんねーけど…
『夜久君に女として意識してもらわなくたって
全然構わないですぅっ!』
プーッッとほっぺたを膨らまして
先に歩き始め、
それでも、
もう一度こっちを振り返った時には
『この後夏希ちゃんとご飯食べに行く、
という切り札を持ってる私に、
何か言いたいことはないかな?夜久君?!』
…やっぱ、早瀬は
仕事仲間としては最高の相手だな…
『敏腕プランナー様、
俺も同席させて頂けませんかっ?』
早瀬はニヤリと笑って
『ごちそうしてね♥』
…そんな事だろーと思ったぜ(苦笑)