第20章 未来への扉
次に夏希に会ったのは、
あれから7年?
いや、8年?
とにかくそのくらい後…
今から2年前。
その時、彼女は、
ウェディングドレスを着ていた。
…花嫁、だったわけじゃない。
うちの会場で、
一般の未婚女性から応募を募って
ウェディングドレスショーの
モデルになってもらう、
という企画をした時だった。
男性社員とリハーサルを覗きながら
素人モデルさんたちを眺めてて…
『あ、あの三番の子、かわいい!』
『俺は、あの、髪の長い子がいいなぁ。』
そんな会話が盛り上がる。
『夜久は?何番が好み?』
『俺は七番だな。昔の彼女に似てっし。
超 ドストライク。』
…それが、まさかの夏希本人だったんだ。
びっくりした。
変わってなくて。
くるりとした、大きな瞳。
プクッとした頬とえくぼ。
笑うと見える真っ白な歯。
弾むような元気な歩き方。
あの頃と違っていたのは、
長くなった髪と、
キレイに化粧した顔。
…俺の知ってる夏希より
ぐんと女っぽく見えて。
"今、ここで再会するって、
絶対何か、意味あんだろ?!"
自分でも驚くほど強烈に
そう思ってしまったから、
リハーサルの直後、すぐに
ステージ裏に駆けつけた。
『…夏希、だよな?』
『もり、すけ?!』
『…あれ?二人、知り合い?』
ショーの出演者対応係だった早瀬は、
びっくりした顔で
首を左右に何度も動かしながら
俺達の顔をかわりばんこに見てた。