第20章 未来への扉
彼女…夏希は、
音駒高校の同級生で、
バレー部のマネージャーで、
2年の頃から、俺の彼女だった。
…別々の大学に進学してから、
別れたんだけど。
なんで別れたんだっけ?
決定的な理由は、
多分、なかった。
お互い、
それぞれの生活が忙しくなり、
新しい仲間や世界も広がって、
気がつけば、一緒にいる時間は
ほとんどなくなり、
それでも、まだ別れたつもりはなく
大学1年の夏休みに
電話で『どっか旅行でも行く?』と、
話をしたんだけど、
バイトやサークルで休みがあわず、
『じゃ、またそのうち、落ち着いたら。』
と言葉を交わしたのが最後だったと思う。
…そんな
ふわっとした終わり方だったから、
別に傷付けあったり
嫌いになったりしたわけじゃなくて。
俺も毎日、
忙しかったし、楽しかったし。
きっと夏希も同じ気持ちだったはず。
よくある"自然消滅"だった。